城中は思いもよらないことに上を下へと騒動し、大混乱となった。太刀よ刀よ、弓よ物の具よとひしめき回るばかりで、敵とかけあう気勢もない。それでも出くわした者達はまっしぐらに進んで、掛け合わせるが待ち構えた敵の中に二人三人かけ入ったといって何になろうか。皆やにわに討ち殺され160余人に及んだ。続いて出る人々も命を惜しまず戦うが、三百余人が備えを固めて名乗りをかけながら切っ先をそろえて攻め戦うのだから討たれる者は数知れない。今はかなわぬと思い我先にと落ちて行く。

尚持にとって城内は勝手知ったる所である。甲の丸に攻め入むと鎮氏もしばらく持ちこたえ防いでいたが或者は討たれ、又落ち延びて力及ばず自らも主従6・7人で峰を降り吉原口へ落ち延びる。吉原源内左衛門典通はこれを見て矢を取り引打ち掛けたので一人も残らず撃ち殺された。>次へ

氏貞嶽山開城:1234567│8│9